日本老年看護学会第7回学術集会特集 シンポジウムB
老年看護援助方法と効果性の追求
食行動を整えることつまり生活行動を整えること—摂食・嚥下障害患者のトレーニング法
田中 靖代
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1ナーシングホーム気の里
pp.31-35
発行日 2003年3月15日
Published Date 2003/3/15
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- 文献概要
1.テーマへのアプローチ
摂食・嚥下障害の患者と向き合ってかれこれ20数年を経過したろうか.と言っても看護の仕事は患者のライフサポーターなのだから,食べることへのかかわりは排泄や睡眠の援助と同じように看護の歴史とともにあったはずである.ところが何と私の場合は摂食・嚥下障害の看護など,まったく認識外のことだった.そんな私を動かしたのが,命をかけても「口から食べたい」患者であった.
彼は球麻痺だったが,生きているかぎり食べられる可能性があることを信じていた.しかし,20数年前の常識では,球麻痺や仮性球麻痺患者の経口摂取は困難であるとされており,肺炎を防止するためにもチューブ栄養が望ましいというものだった.それ故,摂食援助に向き合おうとする私は変人だったようだ.私はうまくいかないトレーニングを患者に激励されながら継続した.その過程は模索の連続であったが,1つ問題が解決する喜びにつづいて新たな課題が生まれた.と同時に,これまで口から食べられなかった患者が食べられるようになると,とたんに元気が出て他の生活行動もどんどん拡大していく驚きと,実践と理論が統合する感動を味わった.
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