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日本老年看護学会第13回学術集会特集 特別講演
ICFから高齢者医療・介護を考える─生活機能学の立場から
Medical and Long-term Care for Older Population : An ICF Perspective
大川 弥生
1
1国立長寿医療センター研究所生活機能賦活研究部
pp.18-27
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
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はじめに
1) 「生活機能」の意義
高齢者の医療・介護においては,「健康とは単に病気・症状がないだけでなく,生活機能が高い水準にあること」という観点が重要である.ここで生活機能(Functioning)とはICF(International Classification of Functioning, Disability and Health;国際生活機能分類,WHO 2001)の中心概念である.このような生活機能の重視は,WHO憲章の健康の定義(WHO, 1948)が「健康とは単に疾患・病弱が存在しないことだけでなく,身体的・精神的・社会的ウェルビーイングの状態」であることから考えれば当然であり,このウェルビーイングの状態とは,生活機能が高い水準にあることを意味している.
これを端的に示すのがWHO─FIC(Family of International Classifications,国際分類ファミリー,図1)の中で,ICFが疾病・外傷に関するICD(国際疾病分類)と同等の中心分類として位置づけられている(大川,2007a)ことである.ICDは100年以上の歴史をもち,最近はDPC(診断群分類)との関係で一般臨床での活用の機会が増加しているものであるが,このICDと並んでICFが中心分類,すなわち「健康」に関する最も基本的なものとして位置づけられたことは,背景にある健康観の大きな進歩を示しているといえよう.
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