日本看護診断学会第21回学術大会報告 的確なアセスメントから生み出される正しい看護診断
【会長講演】
的確なアセスメントから生み出される正しい看護診断
長谷川 智子
1
Tomoko Hasegawa
1
1福井大学医学部看護学科
1University of Fukui, Faculity of Medical Sciences, School of Nursing
pp.16-20
発行日 2016年3月15日
Published Date 2016/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7004200018
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
看護とは,あらゆる年代の個人,家族,集団,地域社会を対象とし,健康の保持増進,疾病の予防,健康の回復,苦痛の緩和を行い,生涯を通してその最後まで,その人らしく生を全うできるように支援を行うことである(日本看護協会, 2007).そして看護実践とは,看護職が対象に働きかける行為であり,看護業務の主要な部分を成すものである(日本看護協会, 2007)とされている.「支援を行う」ことや「働きかける行為」は,看護師の思考過程のプロセスから生み出される「行動」であるため,看護師の適切な思考過程なくして看護は生み出されない.しかし,日本看護協会の定義をはじめ,多くの看護の定義や規定,関係法規などには,看護の思考過程が含まれていないために,一般市民に加え医療職者でも看護の知的工程について理解が薄いのが現状である.そのためには,私たち看護師は看護の知的工程である看護診断についてもっと多くの人々にわかるように伝えていくべきである.
看護診断とは,健康や生活に顕在的または潜在的にみられる健康問題に対する,個人,家族または社会の反応についての臨床判断である(Herdman & 上鶴, 2015/2015).また米国看護師協会(American Nurses Association, 1980/1982)では,看護診断とは,すなわち臨床診断であり,実在的または潜在的な健康問題を記述したものであると定義づけており,看護師はその教育と経験によって治療する能力と資格を有するものであると表明している.つまり,正確な臨床判断に基づく看護診断を行い,的確な看護介入を提供することが,看護師の責務であるといえる.
Copyright © 2016, Japan Society of Nursing Diagnosis. All rights reserved.