日本看護診断学会第4回学術大会報告 看護診断の発展をめざして
【会長講演】
実践力を高める看護診断
菊地 登喜子
1
Tokiko Kikuchi
1
1東北公済病院
1Tohoku Kosai Hospital
pp.6-14
発行日 1999年3月15日
Published Date 1999/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7004100021
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はじめに
第4回日本看護診断学会学術大会の講演にあたりテーマを「実践力を高める看護診断」と設定しました.看護の実践現場で看護展開の方法(論)を選択したり,確立したりすることについては,以前から関心のあるところでした.
実践の場の多くの問題は,想像や推測をはるかに超えて,取り扱う内容や状況において複雑なうえ,時間的な切迫感に起因するのではないかと思います.たとえば,マンパワーの状況1つをとってみても,毎年新卒の看護婦が入職してきます.個人も組織も看護力を高めていく努力を効果的に行わなければならないことを強く意識せざるをえません.チームで統一して用いることができる基本的な手法は不可欠な要請ではないかと考えます.
日本看護診断学会の前身である看護診断研究会が発足した年は1991年でした.具体的な情報としても当時は,NANDAなどの看護診断分類が紹介されていました.私自身,東北公済病院で看護の管理の役に就き実践にあたって,ちょうど1年が経過しておりました.以前よりPOS〔problem oriented system(問題志向システム)〕を取り入れ,かなり年数を経ていた当院でしたが,この1991年に看護診断を使う決定をして,なんとか今日に及んでいます.
現在は,POSと看護診断とセルフケア不足理論の3つを基本に据えて実践していますが,いまだ試行錯誤の段階を脱しえず,看護診断をはじめ,それらの理論を実践に用いたことによる成果を確実に評価するまでに至っていません.しかし,何年か段階的に進めてきて,いささか成果といえるものを実感してきています.
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