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日本看護診断学会第3回学術大会報告 クリティカルに進めよう看護診断を
【会長講演】
発動性の理論と看護診断―全体性を視座において
Spontaneity and Nursing Diagnosis: A Wholistic Approach
近田 敬子
1
Keiko Chikata
1
1兵庫県立看護大学
1College of Nursing Art and Science, Hyogo
キーワード:
二次的一元性
,
気の概念
,
発動性の発揮
,
情緒の安定・安寧
,
全体論的人間の反応パターン
Keyword:
二次的一元性
,
気の概念
,
発動性の発揮
,
情緒の安定・安寧
,
全体論的人間の反応パターン
pp.5-10
発行日 1998年3月15日
Published Date 1998/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7004100002
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人間は,誰でも能動的に「自ら発動する力」をもっている.筆者は,この発動性の発揮を「全体がα(気)に包み込まれた姿」ととらえ,それを「全体的に自己充実した在りよう」と解して,全体論的健康論を導いた.これは,充実感や満足感を伴った自己実現の姿としての在りようと言い換えることができる.この考え方を軸に,その状態や状況を判断しようとしたとき,病者の場合はそれがはなはだ難しく,その前提条件として「前向きな情緒の安定・安寧」を位置づけて,モデル図を描いた.このような考え方で全体性を視座において看護する場合,どのような進め方になるのかを模索した.その結果,従来の方法とは逆で,真っ先に「全体性がα(気)に包み込まれた姿」の状況判断に始まるとした.α(気)が見えにくい病者の場合には,その前提条件である情緒の安定・安寧の有無を判断することになる.しかし,情緒安定の根拠をいかに見定めるかについては,研究の途上であるものの,アメリカ全人的看護婦協会(AHNA)が示す〈自己概念の変化〉や〈情動の変化〉などに焦点を合わせた診断構造が参考になる.要するに,人の全体性を保証するためには,〈全体的な心の在りよう〉を優先して判断し,次いで〈生活を遂行する力〉に目を向け,そして〈基本的生理機能との統合〉へと診断を進めると提言した.いずれにしても,人と人の在りように深い関心を寄せてかかわろうとする看護観であるならば,全体性が保証されると考えた.
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