一頁講座 リハビリテーション関連用語
発動性と自発性,発動性低下とうつ状態
先崎 章
1
1埼玉県総合リハビリテーションセンター神経科
キーワード:
前頭葉障害
,
発動性の障害
,
うつ状態
Keyword:
前頭葉障害
,
発動性の障害
,
うつ状態
pp.782
発行日 2005年8月10日
Published Date 2005/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100161
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自発性とは,精神医学大事典1)によれば,「他からの影響をうけることなく,目的にそった行為あるいは意志行為をみずから発動させる能力」のことを言う.発動性もほぼ同義に用いられているが,発動性のほうがより根源的,生命的な意味合いをもっている.すなわち,発動性は「欲動」にもとづく行動の発現であるのに対して,自発性は「意志」による行動という意味合いがある.その意味では,自発性という用語のほうがより高級な要素を含んでいる.
自発性という用語は,おもにその喪失や減退について論じるときに用いられる.自発性の「減退」ということが,脳損傷例(前頭葉損傷例),統合失調症の長い経過で人格が低下した例(荒廃期),あるいはうつ病の例でみられる.自発性の亢進という用語は通常使用しない.
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