Japanese
English
研究報告
看護における全体性の概念
The Concept of Holism in Nursing
花出 正美
1
,
西村 ユミ
2
Masami Hanade
1
,
Yumi Nishimura
2
1千葉大学大学院看護学研究科博士後期課程
2日本赤十字看護大学
1Doctor's Course, Graduate School of a Nursing, Chiba University
2The Japanese Red Cross College of Nursing
キーワード:
ホーリズム
,
ホリステック
,
ホールネス
,
全体的存在としての人間
,
holism
,
holistic
,
wholeness
,
whole person
Keyword:
ホーリズム
,
ホリステック
,
ホールネス
,
全体的存在としての人間
,
holism
,
holistic
,
wholeness
,
whole person
pp.46-54
発行日 2000年8月30日
Published Date 2000/8/30
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
Ⅰ.はじめに
看護学では,「人間は全体的な存在である」という見解をもち,そのような人間と相互に関係を築きながら健康に寄与することを目指してきた.この全体的な存在のありようは,「ホーリズム(holism)」,「ホリスティック(holistic)」,あるいは「ホールネス(wholeness)」という概念によって説明される.この見解は,看護学が近代科学思想にみる機械論に対して非機械論を,還元論に対して非還元論を,可逆性に対して不可逆性を尊重する立場に立っていることの現れと思われるが,これらの否定形が何を意味するのかは未だ充分に説明されていない.「人間は全体的な存在である」といっても,その解釈は様々であり,また意味することも漠然としている.
そこで本論文は,全体的な存在のありようを意味するホーリズム,ホリスティック,あるいはホールネス等の概念の性質を「全体性」と呼ぶこととし,主に英語圏の文献を概観しながら,看護学における「全体性」の位置づけとその意味を文献的に探求する.併せて,上述の探求より「全体性」が孕む問題点を整理し,これを踏まえてさらなる探究の方向性を検討することを目的とする.
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