Japanese
English
研究と報告
発動性欠乏を呈した左上前頭回内側面に病巣を有する2例
Loss of Spontaneity Caused by Lesion of the Medial Left Frontal Lobe: a report of two cases
中野 光子
1
,
篠永 正道
2
Mitsuko NAKANO
1
,
Masamichi SHINONAGA
2
1順天堂大学医学部脳神経内科
2平塚共済病院脳神経外科
1Department of Neurology, Juntendou University School of Medicine
2Department of Neurological Surgery, Hiratsuka Kyousai Hospital
キーワード:
Aspontaneity
,
Mesial frontal symptom
,
Cerebral arteriovenous malformation
,
Transcortical motor aphasia
,
Mutism
Keyword:
Aspontaneity
,
Mesial frontal symptom
,
Cerebral arteriovenous malformation
,
Transcortical motor aphasia
,
Mutism
pp.823-829
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904375
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【抄録】左前頭葉内側面に病巣がある2症例について報告した。症例1では巨大AVMを摘出する術前3週間から手術後にかけた約6か月間,症例2では左前大脳動脈M2閉塞症の発症直後から約3か月間,ともに言語を中心に行動全般を観察した。両例とも,発症と同時に突然の緘黙に陥り,自発語の減少を中核として,類似の症状と経過を呈し,ほぼ2か月間で回復した。この自発語の減少が超皮質性運動失語に相当するか発動性低下に伴う緘黙に相当するかは議論が分かれるところであろう。
筆者らは,これらが行動全般の極度の発動性欠乏に伴って生じ,その回復に並行して改善したこと,また,言語症状も自発語と復唱の乖離が顕著であるというよりは,意欲を要する課題に反応しない印象が強かったところから,これらの症状は発動性欠乏により説明できると考えた。
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