【調査報告】
2.外来血液透析患者の看護記録に関する実態調査(第一報)
神谷 千鶴
1
,
本田 育美
2
,
大徳 真珠子
2
,
三島 明子
3
,
新谷 恵子
2
,
江川 隆子
4
1秋田大学医学部保健学科
2大阪大学大学院医学系研究科
3兵庫医科大学病院
4大阪大学医学部保健学科
pp.68-78
発行日 2003年11月15日
Published Date 2003/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100158
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Ⅰ.はじめに
わが国の透析療法は,独自の医療制度のもと,数多くの臨床・調査研究1~5)によって確立されてきた.これらの研究では,患者の背景や身体的所見,透析条件などの情報が用いられており,このような情報は,日本透析医学会・日本透析医会により調査され蓄積されている6).
しかし,透析患者の高齢化や長期合併症の出現により,生活の質の低下が問題となってきている現在では,疾病や透析治療に関する情報だけでなく,心理的・社会的な側面や患者の家族についてなどの“透析治療を受ける患者の生活”についての情報,つまり,看護問題を把握するための情報の蓄積が必要であると考えられる.それは,日本看護協会が「看護記録は看護実践を明示したものであり,ケアの根拠や評価,ケアの向上,開発の貴重な資料である」7) と述べているように,看護記録の内容が明らかになれば,記録に記載されたデータから患者の実態を把握できるばかりか,不足している情報や必要なデータについてアセスメントすることができ,ケア開発に重要な基盤づくりができる.さらに系統的に考案されたデータベースがあれば,的確な看護を提供することにつながるとも考えられる.
しかしながら,わが国の透析看護における記録の実態は明らかになっておらず,そのうえ,看護問題に関連するデータを蓄積していくために必要な項目や判断の基準などについても検討されていない.そこで,全国の外来血液透析施設における看護記録の実態を把握することを目的に実態調査を行った.
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