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看護職は、患者にとって最も身近な存在であり、また頼りになる存在である。その役割は、医師とは別の意味で患者の治癒ないし回復にとり大きな意義を有するし、場合によっては人生最期の死にゆく過程において貴重な同伴者にもなってくれる。そうであるがゆえに、看護職の方々には、法と倫理を一定程度、欲を言えば、より深く学んでいただきたい。なぜなら、職務を遂行するに際して、看護職には一定のリスクが伴うからであり、リスクが重大な結果に結び付かないように注意しなければならないからである。
さて、看護をめぐる法と倫理の関係であるが、看護倫理については、長年の看護職の臨床経験から積み上げられた経験が行動規範としてルール化されており、大半の看護職者が看護大学・看護学校等でそれを学び、かつ臨床現場で実践しながらさらに学んでいることと思われる一方、法的側面については、一部を除き、あまり学ぶ機会がないのではないか。もちろん、国家試験との関係で保健師助産師看護師法(以下「保助看法」という。)等の勉強をするのは当然であるが、より広く医事法を学ぶ機会は少ないのではないか。また、看護倫理も、広義には生命倫理と深く関わる部分があるが、法と生命倫理、看護倫理との関係は、意外と深いものがある。しかし、この中で、法学は、その内容が難解と思われているためか、敬遠されている節がある。私は、現在は、早稲田大学で法曹を育てる法科大学院、さらには法学部や大学院法学研究科において刑法と医事法を教えているが、広島大学法学部時代には、法学部のほか、看護学校等で医事法を長年教えた経験がある。特に広島大学法学部では、夜間部があるので、そこに熱心な看護職の方々が毎年複数人法学を学びに来ていた。なかには、法学博士の学位を取得し、その後、看護関係の大学教授になっている教え子や、看護学の学位を取得して看護系大学の教授にまでなっている教え子もいる。また、早稲田大学法科大学院でも、看護師出身で法曹になった教え子もいる。さらに、小児医療をめぐる問題の共同研究においても、熱心かつ優秀な看護関係者が必ずいる。
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