特集 ゲノム時代と病院
遺伝子診断をめぐる倫理的問題
白井 泰子
1
1国立精神・神経センター精神保健研究所
pp.1027-1030
発行日 2001年12月1日
Published Date 2001/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903427
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この10年あまりの間に驚くほどの早さで進められてきたヒトゲノム解析研究の過程で,数多くの遺伝子が明らかにされるとともに,新しく見つかった遺伝子の構造や機能,染色体上の位置なども解明されている.こうした研究の成果により,遺伝子検査の対象疾患はメンデル型遺伝形式をとる単一遺伝子病だけでなく,高血圧や糖尿病のような一般的疾患にまで広がってきた.また,遺伝子診断の目的も,病型診断や出生前診断・保因者診断だけでなく,発症前診断や疾患感受性診断へと拡大している.こうした遺伝子診断の用途の多様化・一般化によって,遺伝子診断をめぐる倫理問題が顕在化する可能性も大きくなっている.
本稿では以下の順序に従い,問題点の指摘と検討を行う.
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