連載 周産期の生命倫理をめぐる旅 あたたかい心を求めて・27【最終回】
性と命の誕生をめぐる生命倫理
仁志田 博司
1
1東京女子医科大学
pp.236-241
発行日 2015年3月25日
Published Date 2015/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200153
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
これまで周産期医療において遭遇するさまざまな問題を生命倫理の切り口から解説してきたが,改めて「人が生まれる」という出来事を「性と命の誕生」という根源的な側面から考えてみる。
性の言葉には,性別の意味と性行為(性交:セックス)の意味が含まれる。進化の過程で生まれた性は,男女という性別によって遺伝情報の多様化を促進する。その一方で,人間においてはセックスは生殖目的を越えて,社会の絆の一端にまでなったことに伴う新たな生命倫理的問題が生じてきた。さらにセックスそのものが進化の代償として死を内蔵しており,また誕生の時ほど人が死に近づくことはないところから,周産期に特化した性と死の概念を考えてみる。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.