Japanese
English
教育講座
サルコペニアとリハビリテーション
Sarcopenia and Rehabilitation
千田 益生
1
,
堅山 佳美
1
,
兼田 大輔
1
,
日野 知仁
1
,
池田 吉宏
1
Masuo Senda
1
,
Yoshimi Katayama
1
,
Daisuke Kaneda
1
,
Tomohito Hino
1
,
Yoshihiro Ikeda
1
1岡山大学病院総合リハビリテーション部・リハビリテーション科
キーワード:
サルコペニア
,
液性因子
,
栄養
,
運動
,
慢性炎症
Keyword:
サルコペニア
,
液性因子
,
栄養
,
運動
,
慢性炎症
pp.609-616
発行日 2017年8月18日
Published Date 2017/8/18
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- 参考文献 Reference
サルコペニアとは
高齢になると,多くの人で筋肉はやせ,筋力の衰えを実感する.このような加齢による筋肉の減少をサルコペニアと呼ぶ.サルコペニアという言葉は,1989年Rosenberg1)によって提唱された造語であり,ギリシャ語でsarcoが筋肉,peniaが減少,消失という意味である.日本語訳では,加齢性筋肉減少症をはじめ,さまざま提唱されたが統一されず,現在はサルコペニアというのが一般的である.サルコペニアの定義は,2010年のヨーロッパのサルコペニア研究班において,「骨格筋量と筋力の進行性かつ全身性の低下に特徴づけられる症候群で,身体機能障害,QOLの低下,死のリスクを伴うもの」とされた2).Landiら3)は,70歳以上のナーシングホーム居住者122名のサルコペニアの有無による死亡率を調査し,サルコペニアではない高齢者に比較し,サルコペニアでは2.34倍死亡率が高いと報告した.骨格筋量では,加齢により上肢より下肢筋肉量の低下が著明であり,85歳以上では18〜24歳の成人の約60%まで低下する.筋力でも同様に,下肢で低下が著しく,70歳以上では,20歳代の約50%まで低下する4).握力など上肢筋力は比較的保たれる.高齢者では,身体機能としてバランス能力も著明に低下し,開眼片脚起立時間では,70歳を超えると平均で20秒,80歳で10秒になってしまう5).サルコペニアは,高齢者の健康寿命を考えるうえで非常に重要な疾患である.
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