連載 高次脳機能障害に対する認知リハビリテーションの技術・第3回
公共交通機関利用による作業所への単独通所が可能となった両側前頭葉損傷の1例
狩長 弘親
1
1吉備国際大学保健医療福祉学部作業療法学科
キーワード:
高次脳機能
,
生活障害
,
公共交通機関
,
家族支援
,
環境調整
Keyword:
高次脳機能
,
生活障害
,
公共交通機関
,
家族支援
,
環境調整
pp.241-244
発行日 2016年3月18日
Published Date 2016/3/18
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はじめに
高次脳機能障害は外見上症状が目立たず,在宅での日常生活,特に社会活動場面(就労,就学,買い物,役所や銀行の手続きなど)で気づかれることが多い.一見障害が軽そうにみえる高次脳機能障害者であっても,在宅では家族のケアの上に生活が成り立っている実態が明らかとなっている1).そのため,地域で生活する高次脳機能障害者の生活障害への支援では,実際の生活場面に介入するとともに家族への支援が不可欠である.
高次脳機能障害者の地域における生活支援の新たなシステムとして,生活版ジョブコーチ研究事業が2009〜2011(平成21〜23)年度に実施された.生活版ジョブコーチとは,「生活場面に介入し,専門的な知識・技術を活用して生活がうまく送れるように援助する人」 と定義され,実際に生活する場で,繰り返し行動の定着を支援し,自立させる訪問型の生活訓練を行っていく2).筆者は本事業にて生活版ジョブコーチの職務を行った.
今回,交通事故により遂行機能障害,脱抑制を主とした高次脳機能障害を呈した両側前頭葉損傷例に対し,生活版ジョブコーチによる家族支援を含めた生活場面への介入を行った結果,公共交通機関利用による作業所への単独通所が可能となったので報告する.
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