特集 脳卒中における実用歩行訓練
屋外歩行と公共交通機関の利用
山嵜 敏夫
1
,
神沢 信行
2
,
屋嘉 宗浩
3
Yamasaki Toshio
1
1兵庫県立総合リハビリテーションセンター重度身体障害者更生援護施設
2兵庫県立総合リハビリテーションセンター中央病院リハビリ療法部
3老人保健施設亀の里
pp.238-244
発行日 1996年4月15日
Published Date 1996/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104516
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Ⅰ.はじめに
福祉行政についての強い要望が叫ばれている今日,障害者自身が社会に参加する機会は徐々に増えてきている.公園の散歩や医療機関への通院,地元の会合へ参加するなど狭く身近なものから,地域作業所や授産施設に通所したり,高校や大学あるいは職業訓練校への通学,職場への通勤,スポーツ・レジャー活動や文化活動への参加といった広範囲に及ぶものまで,多種多様なひろがりを見ることができる.
このような状況のなか,障害者が社会参加するうえで特に確保しなければならないのが移動手段である.自宅から一歩外に出れば,そこはたちまち凸凹の多い道路や急勾配の坂道があったり,人や自動車の往来の激しい道路が多く,移動手段の確保ひとつとっても困難なことが多い.したがって,社会生活を営むうえで移動手段を確保することは重要であり,また欠くことのできない要素といえる.
そこで本稿では,移動手段のなかでも「屋外歩行と公共交通機関の利用」に焦点をあて,当センターの重度身体障害者更生援護施設(以下,重度更生施設)で行っている訓練の実際を紹介し,理学療法士の立場から社会的リハビリテーションでの取り組みについて述べることとする.
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