Japanese
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特集 移動手段
障害者の公共交通機関利用の現状と問題点
Public Transportation System for the Disabled: Overviews and Perspective.
野村 歓
1
Kan Nomura
1
1日本大学理工学部
1College of Science and Technology, Nihon University.
キーワード:
公共交通機関の利用状況
,
特別交通機関
Keyword:
公共交通機関の利用状況
,
特別交通機関
pp.791-798
発行日 1981年10月10日
Published Date 1981/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104624
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はじめに
障害者をとりまく物理的な生活環境は10年前とくらべれば数段進んできた,といえる.心身障害者向公営住宅は全体的にまだ不足しているとはいえ,地方公共団体によって次々と建設されているし,都市環境整備においても「身体障害者福祉モデル都市制度」「障害者福祉推進都市制度」を核にして公共建築物,道路,交通安全施設の整備が進められている.最近では「環境整備要綱」といって,障害者が建築物等を利用できるように整備する基準を作り,公共建築物はもちろんのこと,民間建築物に対しても行政指導を行う地方公共団体が増えてきた.
しかし,住宅や公共建築物がどんなに整備されても交通機関が利用できなければ市民としての生活が保障されたとは,いい難い.
表1は,交通手段に係わる国が行っている施策であるが,多くは自家用車に関するものである.その他の交通機関に対しては単なる金銭的な補助制度がいくつかあるだけであり,交通機関における車輔改造等の具体的施策は見ることができない.障害者の移動は自家用車が最も便利であることは,十分に承知していてもすべての障害者がこれを利用できるわけではない.また自家用車による移動距離の限界もおのずから定められてしまう.
そこで本論では,障害者の公共交通機関の利用状況を事例紹介しながら,問題点を整理し,今後の施策の展開の方向を示してみたいと思う.
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