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はじめに
通所リハは介護保険サービスの1つとして,平成12年の制度発足以来,生活期リハの中心的サービスとして考えられてきた。介護保険法第4条には「要介護状態となった場合においても,進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより,その有する能力の維持向上に努めるものとする」とされ,リハ重視の考え方が示されている。つまり元来その状態を維持向上させるために利用するサービスとして位置づけられてはいるが,その内容について議論されることはほとんどなく,リハ=機能訓練(機能偏重)の考え方のもと,急性期あるいは回復期リハの延長線上で通所リハも提供されてきた。
その結果,平成16年には「高齢者リハビリテーション研究会」にて,介護保険で提供される高齢者へのリハは必ずしも満足すべき状況に至っていないことが指摘され,高齢者の尊厳を支えるケアの実現を目指すためにリハの充実はその重要な柱であり,そのあるべき方向が議論された(図1)。しかしその後も生活期リハサービスの質は大きく変わることなく,さらなる検討の必要性が高まっていた。
その後,生活期リハは社会保障審議会介護保険部会や地域包括ケア研究会,そして,「高齢者の地域におけるリハビリテーションの新たな在り方検討会」においても議論され,とりわけ通所リハは改めて地域包括ケアの主軸を担うサービスとして変革が求められた。その結果,平成27年度介護報酬改定はまさにその集大成とも言える大きな改革となった。特徴的なのは,医師の積極的な参画やリハ会議,中重度者の受け入れや対応,認知症への柔軟な対応,活動や参加に力点をおいて修了を目指す「生活行為向上リハビリテーション」など,地域の連携拠点であり,かつ多機能であることが改めて示されたことで,これまで「20分の個別リハ」にこだわった考え方からの大きな前進であると言える。そして,地域の連携拠点であることも強調された。
改定から1年以上が経過した昨今,いまだ通所リハの「質」は全国的に見て決して担保されているとは言えず,多くの解決すべき課題を含んでいる。だからこそ,ここで改めて期待された通所リハは,再生に向けた取り組みを始動する必要がある。ここでは,再生に向けた基本的方法論を理解するために,通所リハの目的と機能をはじめ,求められる機能までを改めて考えることとする。
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