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特集 頸椎椎弓形成術の現在と今後
頸椎症性脊髄症に対する椎弓形成術の適応と限界—固定術が必要な症例
Indication and Limitation of Laminoplasty for the Treatment of Cervical Spondylotic Myelopathy(CSM): Cases Considering Cervical Fusion
吉井 俊貴
1
,
平井 高志
1
,
坂井 顕一郎
2
Toshitaka YOSHII
1
,
Takashi HIRAI
1
,
Kenichiro SAKAI
2
1東京医科歯科大学整形外科学分野
2済生会川口総合病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Tokyo Medical and Dental University
キーワード:
頸椎症性脊髄症
,
cervical spondylotic myelopathy
,
椎弓形成術
,
laminoplasty
,
前方除圧固定術
,
anterior decompression and fusion
Keyword:
頸椎症性脊髄症
,
cervical spondylotic myelopathy
,
椎弓形成術
,
laminoplasty
,
前方除圧固定術
,
anterior decompression and fusion
pp.647-653
発行日 2022年3月4日
Published Date 2022/3/4
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201712
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はじめに
頸椎症性脊髄症(cervical spondylotic myelopathy:CSM)に対する手術療法として,前方固定術(anterior decompression and fusion:ADF)や椎弓形成術(laminoplasty:LAMP)が広く行われてきた.欧米では前方法が行われることが多いが,本邦では発育性の脊柱管狭窄が多いことや,LAMPが開発された歴史もあり,現在,国内では大半の頸椎手術が後方法で行われている.
LAMPは手術手技が比較的簡便であり,広範囲に頸椎の同時除圧ができる優れた術式であることはいうまでもない.しかし一方で,一部の症例では,間接除圧の限界や動的因子の残存,術後の後弯化などが問題となり得る.以前われわれは,CSMに対する術式をADFとLAMPに振り分けて,前向き比較研究を行っている3).この症例群の中でLAMP術後の神経症状改善不良例から,成績不良因子を検討した.さらに,別の症例群でLAMP術後の後弯化の危険因子の検討も行っている.
LAMPが多数のCSM症例に有効であることは明らかであるが,本稿では,LAMP術後に成績不良となり得るような症例に着目し,LAMPの適応と限界,固定が必要と考えられる症例について考察する.なお,後縦靭帯骨化症(ossification of the posterior longitudinal ligament:OPLL)は病態や手術成績,手術リスクも異なるため,本稿ではOPLLは含めず,CSMに対する治療,術式に関して述べる.
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