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特集 頸椎症性脊髄症に対する手術治療戦略
神経外科からみた頸椎症性脊髄症の外科治療
Surgical Treatment of Cervical Spondylotic Myelopathy from the Stance of Neurospinal Surgery
水野 正喜
1,2
Masaki MIZUNO
1,2
1三重大学医学部脊髄末梢神経低侵襲外科
2鈴鹿回生病院脊椎・脊髄センター
1Department of Minimum-invasive Neurospinal Surgery, Mie University Graduate School of Medicine
キーワード:
頸椎症性脊髄症
,
cervical spondylotic myelopathy
,
頸椎前方除圧固定術
,
anterior cervical decompression and fusion
,
椎弓形成術
,
laminoplasty
Keyword:
頸椎症性脊髄症
,
cervical spondylotic myelopathy
,
頸椎前方除圧固定術
,
anterior cervical decompression and fusion
,
椎弓形成術
,
laminoplasty
pp.1011-1019
発行日 2019年11月25日
Published Date 2019/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201256
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はじめに
頸椎症性脊髄症(以下,頸髄症)は,高齢化が進む状況ではますます症例が増加すると予想され,今後数十年にわたり治療の重要課題として存在し続ける疾患である.その外科治療は,患者の苦痛を解消するのみでなく,安全確実で低侵襲であることや長期的に症状の改善を維持できることが重要である.
脳神経外科の脊髄脊椎外科医の多くが所属する日本脊髄外科学会は,2016年6月よりその英語名をNeurospinal Society of Japanに変更したが,これは神経症状を脳脊髄から末梢神経まで体系的に捉えて,脊髄脊椎疾患を治療するという概念を意味している.頸髄症の治療にあたっては,まず患者を診察し,神経症状から病変の高位診断を行うことから始まる.そのうえで画像所見を参考に,症状を改善するためにはどのような治療法がよいか判断していく.脊髄症状単独なのか,神経根症状も併発しているのか,圧迫病変は骨棘なのか狭窄なのか,不安定性はあるか,などの多くの要因によって手術法が選択される.最近,頸椎前方の展開や手術を経験していない脊椎外科医が存在するという話も耳にするが,症状や病変に応じて最適な治療法を選択できるよう,頸椎の前方法も後方法も十分理解して実践できるよう経験値を高めていく必要がある.本稿では,脳神経外科の観点から,頸髄症に対する外科治療の選択と手技について提示し解説する.
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