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はじめに
頸椎症性脊髄症(cervical spondylotic myelopathy:CSM)に対する手術療法に関して,これまでに多くの報告があるが,前方除圧固定術(anterior decompression with fusion:ADF)と後方椎弓形成術(laminoplasty:LAMP)は機能回復と脊髄症進行の予防をもたらす治療として広く用いられてきた4,19).一般に,ADFは前方圧迫要素に対して直接除圧を行ったうえで動的因子も除去できる点において優れ,前方に大きな脊髄圧迫因子が存在する場合や後弯症例に有効である7,20).一方で,手術手技の難しさ,周術期管理の煩雑さ,合併症の多さなどが問題となる15).
LAMPに代表される後方除圧術は,手技が比較的簡便である反面,間接除圧の限界や動的因子の残存,術後の頸部軸性疼痛,術後の後弯化などが問題となり得る.これまで前方法と後方法を比較検討したシステマティックレビューでは,神経症状改善に関してADFが良好であるというものや1,9,13),両術式に差がないとするものがあり14),いまだ議論のもたれるところである.術式選択に関する標準的な基準はなく,前方法を行うか,後方法を行うかは,術者,施設によって異なり,国によっても大きく異なる.特に本邦では,発育性の脊柱管狭窄が多いことや,LAMPが開発された歴史もあり,現在国内では90%以上の頸椎手術が後方法で行われている15).一方で,米国では50%以上のCSM症例が前方法で行われている10).
これまでわれわれは,頸椎症性脊髄症に対する治療法として,ADFとLAMPの術式比較やLAMPの成績不良例の検討などを行ってきた.本稿では,その結果を紹介するとともに文献的考察を行う.
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