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はじめに
初めて脊柱管狭窄症が紹介されたのは1803年にさかのぼり,Portalが報告したくる病に高度の脊柱変形を合併し四肢麻痺となった症例と考えられている8).それ以後,脊柱管狭窄症によると考えられる症例報告が散見されるようになるが,脊柱管狭窄症という概念は提唱されていなかった.1949年,Verbiest17)は突発性発育性狭窄(idiopathic developmental stenosis)という概念を提唱し,先天奇形などによる病的な狭小化がなくても脊柱管の狭小化は起こるとし,腰部脊柱管狭窄症の概念を確立した.彼は椎弓,関節突起,椎弓根の発育異常による脊柱管の狭小化を基本とし,いわゆる骨性因子による脊柱管狭窄症であった.さらに彼は1954年,1955年に,馬尾の圧迫による間欠性跛行が存在し,これはdevelopmentalな脊柱管の狭小化と退行性変化や椎間板ヘルニアが関与して発生すると報告した14,16).1968年Schatzkerら11)はこれまでの報告を整理して脊柱管狭窄症の分類を行った(表1).その後,骨性因子ばかりでなく種々の後天性要因にて脊柱管狭窄が生じることがわかり,骨性因子に加えて靭帯因子も深く関与していることが指摘された1).腰部脊柱管狭窄症の分類についてはさまざまな試みがなされている.Verbiest15)は先天性と発育性狭窄に大別し,後天性狭窄症を除外している(表2).現在,最も広く用いられている分類は,Arnoldiら1)による国際分類であると考えられている(表3).しかし,この分類に対しては,degenerative stenosisの中に病変部位と原因疾患が並列になっているなどの問題点も指摘されている.わが国では,1970年代前半まではその概念が一般化されておらず,lumbar canal stenosisの定義はあいまいなものであったが,蓮江ら3)が国際分類をもとに腰部脊柱管狭窄症を分類した.このような歴史的変遷をたどり,現在の腰部脊柱管狭窄症の概念が確立されるに至った.
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