Japanese
English
特集 頸椎症性脊髄症に対する手術治療戦略
筋温存型選択的椎弓切除術
Muscle-preserving Selective Laminectomy
山根 淳一
1
Junichi YAMANE
1
1国立病院機構村山医療センター整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, National Hospital Organization Murayama Medical Center
キーワード:
頸椎後方除圧術
,
cervical posterior decompression surgery
,
低侵襲手術
,
minimally invasive surgery
,
MIS
,
頸椎深層伸筋
,
cervical deep extensor muscles
Keyword:
頸椎後方除圧術
,
cervical posterior decompression surgery
,
低侵襲手術
,
minimally invasive surgery
,
MIS
,
頸椎深層伸筋
,
cervical deep extensor muscles
pp.989-994
発行日 2019年11月25日
Published Date 2019/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201251
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はじめに
進行する頸椎症性脊髄症に対する有効な治療法は手術療法のみであり,その手術法は大きく前方法と後方法に分かれ,それぞれに除圧術,固定術が存在する.頸椎後方除圧術には,片開き式椎弓形成術や両開き式椎弓形成術を中心にさまざまな種類の手術法が報告されているが,選択的椎弓切除術は2002年にShiraishi3)によって発表された比較的新しい低侵襲手術手技である.発表当初は除圧する切除椎弓を連続ではなく飛ばしており,skip laminectomy4)という名称で報告されたため,この名称が国内外とも世間に広まっているが,発育性脊柱管狭窄症や頸椎後縦靭帯骨化症(ossification of the posterior longitudinal ligament:OPLL)など,残存させる椎弓高位にも脊柱管狭窄を伴う症例に対応する手術も踏まえて,現在は筋温存型選択的頸椎椎弓切除術2)という名称が使われている.この手術のコンセプトを一言で表すとすれば,ほかの手術のように広範囲の除圧を画一的に行うのではなく,除圧が必要な高位を術前に適切に判断したうえで,文字通りその高位のみを筋温存を図りながら選択的に除圧することである.その際にも,手術用顕微鏡を使用してすべての組織を愛護的に扱い,椎弓や棘突起といった骨性要素だけでなく深層伸筋を中心とした軟部組織の犠牲も最低限にすることで組織温存を図り,頸椎の可動性,支持性を維持するとともに術後の軸性疼痛や後弯変形などを軽減させることができる低侵襲手術手技である.
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