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はじめに
1997年SmithとFoleyにより腰椎椎間板ヘルニアの低侵襲手術として開発されたmicroendoscopic discectomy(MED)手術14)は,顕微鏡下手術の安全性と内視鏡独特の視野と経皮進入による低侵襲を併せもった術式である.モニター,カメラなどの光学周辺機器の進歩,手術操作機器の開発,発展により,安全な手術操作が可能となり,脊椎内視鏡下後方除圧手術として,その手術適応は腰椎から頸椎疾患へと拡大されている1,7,10〜12,20).そのMEDシステムの特徴は,斜視鏡を用いた視野特性であり,通常の真上からではみえない部分に対し,斜めからの覗き込むような視野が獲得できる点である.すなわち,手術視点が皮膚よりも下,脊柱管内にあり,また,斜視鏡からの視野特性により末広がりの視野の獲得が可能となり,神経組織の圧迫に関与しない筋,靭帯,椎間関節などの組織をできる限り温存することができる.
頸髄症に対する従来からの頸椎椎弓形成術の手術成績は長期予後とともに安定している一方で2,16),周囲の筋組織などの軟部組織損傷,筋,靭帯付着部などの問題による後頸部痛,肩凝りなどの頸部軸性疼痛,頸椎可動域制限などが報告されている3〜5).そこで,後方の軟部組織,靭帯付着部などを温存する手術方法が数多く考案されている9,17,18,21).われわれは,低侵襲性としての頸椎内視鏡下後方除圧術(cervical microendoscopic laminotomy:CMEL)を導入している10).CMEL手術では,棘突起列,棘上・棘間靭帯などの支持組織を含む後方の軟部組織を温存することが可能であり,頸部愁訴(軸性疼痛),頸椎可動域制限,頸椎アライメントへの影響の少ない術式といえる.そこで,本研究では,頸髄症に対するCMELの手術成績について従来からの頸椎椎弓形成術と比較し,その有用性を検証し,その適応と限界について述べる.
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