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さまざまな低侵襲手術が脚光を浴びる中,脊椎内視鏡手術は究極の低侵襲神経減圧術であり,早急な社会復帰や復職が要求される場合や体が資本となるアスリートなどの職種,高齢社会において手術や麻酔に伴う侵襲を極力少なくしたい症例にとって,特に有効な外科治療となっています.脊椎内視鏡手術の進歩は,鮮明な内視鏡画像の改良と種々の機器開発が大きく関与しており,社会の要求にも対応し飛躍的に普及しつつあります.また,内視鏡画像をアシストとし,より小さな創部より従来の開窓術に準じた手技を行う方法から,経皮的にすべての手術手技を灌流下で行うfull endoscopic spine surgeryまでバリエーションは豊富となっており,神経減圧術や生検のみならず脊椎固定術まで現在進行形で応用範囲が拡大しています.
一方,限られたスペース,手術器具にて行う内視鏡手術は通常のopen surgeryとは異なる感性や技術を要し,アクセスや病変摘出範囲を正確に決めるための画像読影から手術適応の良否判定,難治性出血や髄液漏発生時の対応,手術におけるエンドポイントの判断など,施術者にとっては内視鏡ならではの気苦労もあることと思います.安定した術者となるには十分なlearning curveが必要となり,一定の訓練システムや認定制度が手術手技の維持向上や安全性確保には欠かせません.本特集執筆者の尾原先生のご指摘にあるように,いかに術中視野が近接し鮮明であっても全体像を理解し把握していなければ戦略的な手術とはいえません.また,特有の合併症やヘルニア再発,神経減圧不足による回復不良例の発生頻度など内視鏡治療の問題点も整理しておく必要があります.
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