Japanese
English
特集 さまざまな基礎疾患・病態を有する症例に対する脊椎固定術
小児頭蓋頸椎移行部後方固定術
Posterior Fixation of Craniovertebral Junction in Childhood
師田 信人
1
,
井原 哲
1
,
荻原 英樹
2
Nobuhito MOROTA
1
,
Satoshi IHARA
1
,
Hideki OGIWARA
2
1東京都立小児総合医療センター脳神経外科
2国立成育医療研究センター脳神経外科
1Division of Neurosurgery, Tokyo Metropolitan Children's Medical Center
キーワード:
小児(pediatrics)
,
後方固定(posterior fusion)
,
頭蓋頸椎移行部(craniovertebral junction)
Keyword:
小児(pediatrics)
,
後方固定(posterior fusion)
,
頭蓋頸椎移行部(craniovertebral junction)
pp.549-561
発行日 2016年5月25日
Published Date 2016/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200387
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はじめに
小児,とりわけ非外傷性乳幼児頭蓋頸椎移行部(craniovertebral junction:CVJ)病変の症例数は限られている.その中でも頭蓋頸椎不安定性を伴い,固定術が必要となる症例はきわめてまれである.対象となる疾患は成人と異なり,何らかの発生的要因を背景としたCVJ骨奇形に合併することが多い.骨奇形の発生そのものも,全身骨代謝性疾患に由来する場合があり,原疾患に関する正確な情報が必要となる.骨奇形の外科解剖理解のためには,複雑なCVJの発生学的解剖の知識が不可欠になる.
小児においては,成人における手術適応基準・手術経験が直接応用できないことも少なくない.骨脆弱性・未熟性(サイズ・骨化強度など),さらには奇形性脊椎異常を伴うため整復が困難なことが多く,成人における固定術の標準であるspinal instrumentationの適応となる症例は限られてくる.そのため,小児,とりわけ乳幼児においては古典的な移植骨とケーブルによる後方固定術の占める割合が高くなる.必然的にHalo外固定術の併用が必要となることが多くなるが,ここにもまた小児特有の合併症・問題点が存在する.
本稿では,自験例をもとに小児CVJ病変に対する頭蓋頸椎後方固定術につき,小児例特有の問題点を中心に記述する.
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