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特集 脊椎外傷—捻挫から脊髄損傷まで
第2章 脊椎損傷の診断と治療
頭蓋頸椎移行部損傷
Craniocervical Junction Injury
種市 洋
1
Hiroshi TANEICHI
1
1獨協医科大学整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Dokkyo Medical University School of Medicine
キーワード:
頭蓋頸椎移行部損傷(craniocervical junction injury)
,
後頭顆骨折(occipital condyle fracture)
,
頭蓋頸椎不安定症(craniocervical instability)
Keyword:
頭蓋頸椎移行部損傷(craniocervical junction injury)
,
後頭顆骨折(occipital condyle fracture)
,
頭蓋頸椎不安定症(craniocervical instability)
pp.291-297
発行日 2016年4月25日
Published Date 2016/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200342
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はじめに
頭蓋頸椎移行部損傷は,頭蓋底,環椎,軸椎を含む損傷で,そのほとんどが高エネルギー外傷により発生する1,3).死亡交通事故の10〜25%が本損傷によると推定されている1).また,後頭環軸椎(O-C1-2)複合体の力学的安定性には翼状靭帯などの靭帯性スタビライザーが大きな役割を果たしており,外傷性不安定性の評価にはMRI,CT再構成画像を駆使した靭帯群損傷の詳細な検討が必要となる.さらに,神経損傷は頸髄のみならず脳そのものや脳神経に及ぶため,重篤かつ複雑な神経症状を呈することが少なくない.かつて頭蓋頸椎移行部損傷は単純に後頭環椎脱臼として捉えられていたが,O-C1-2複合体の機能解剖の理解が進むにつれ,さまざまな不安定性や損傷パターンをとる複雑な損傷で,必要とされる治療も多岐にわたることがわかってきた5,8).本稿では,総論として頭蓋頸椎移行部損傷の病態を理解するために必要な靭帯解剖,損傷メカニズム,神経障害,画像診断のポイント,損傷の各論としては,①後頭顆骨折と②頭蓋頸椎移行部靭帯群の損傷をベースにした外傷性頭蓋頸椎不安定症について解説する.
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