Japanese
English
特集 仙腸関節の基礎と臨床
脊椎固定術後の仙腸関節痛
Sacroiliac Joint Pain after Spinal Fusion
阿部 栄二
1
,
鵜木 栄樹
1
,
村井 肇
1
,
小林 孝
1
,
阿部 利樹
1
,
菊池 一馬
1
Eiji ABE
1
,
Hideki UNOKI
1
,
Hajime MURAI
1
,
Takashi KOBAYASHI
1
,
Toshiki ABE
1
,
Kazuma KIKUCHI
1
1秋田厚生医療センター整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Akita Kousei Medical Center
キーワード:
仙腸関節痛(sacroiliac joint pain)
,
腰椎固定術(lumbar fusion)
,
腰仙椎固定(lumbosacral fusion)
Keyword:
仙腸関節痛(sacroiliac joint pain)
,
腰椎固定術(lumbar fusion)
,
腰仙椎固定(lumbosacral fusion)
pp.225-230
発行日 2016年3月25日
Published Date 2016/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200325
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はじめに
近年,さまざまな腰椎疾患に腰椎固定や腰仙椎固定が行われているが,腰椎固定術後に腰殿部痛や下肢痛・しびれ感が遺残したり,新たに出現してその治療に難渋することがある.一般に,腰椎固定術後の腰殿部痛は,腸骨の採骨部痛や,implantのゆるみ,隣接椎間障害,除圧範囲や固定範囲の不足などと捉えられ,軽症の場合には放置されていることもしばしばみられる.腸骨からの採骨をせず局所切除骨のみで脊椎固定術を行うようになってからも同様な症状の出現を経験して仙腸関節痛の可能性も考え,仙腸関節ブロックを行ってみたところ劇的に症状が改善した例を幾度か経験した.以来,腰椎固定術後の腰殿部痛や下肢痛,しびれ感に関する仙腸関節の関与について調査し,その発現頻度や固定椎間数,仙椎までの固定の有無との関連を検討してこれまで報告してきた16,17).
また,最近,成人脊柱変形の治療で,矢状面バランスの獲得のために仙腸関節を貫くS2 alar iliac screw(S2 AI)1,2,3,15)を用いる固定術が多くなり,これによる仙腸関節障害も懸念されている.今回,S2 AIによる腸骨までの固定と術後仙腸関節痛の発現頻度の検討も加え,これまで得られた知見とともに報告する.
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