Japanese
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特集 仙腸関節の基礎と臨床
仙腸関節痛のレッドフラッグ
Red Flags in Patients with Sacroiliac Joint Pain
大幸 英至
1
,
徳橋 泰明
1
Eiji OSAKA
1
,
Yasuaki TOKUHASHI
1
1日本大学医学部整形外科系整形外科学分野
1Department of Orthopaedics Surgery, Nihon University School of Medicine
キーワード:
仙腸関節痛(sacroiliac joint pain)
,
腫瘍(tumor)
,
レッドフラッグ(red flag)
Keyword:
仙腸関節痛(sacroiliac joint pain)
,
腫瘍(tumor)
,
レッドフラッグ(red flag)
pp.187-193
発行日 2016年3月25日
Published Date 2016/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200319
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はじめに
仙腸関節は,起立位にて脊柱から両下肢へと荷重を伝達,分散させるため,静的・動的に多大な負荷がかかる.仙腸関節は周囲に強固な靭帯を有するため,可動性に乏しく,荷重関節と比べ疼痛の原因となることは少ないが,さまざまな病態生理学的因子により障害が出現する.仙腸関節の神経支配は1857年にRüdingerが報告して以来さまざまな報告があるが,主に第1〜3仙骨神経で支配されている.さらに,第5腰神経,第4仙骨神経の支配もあり,幅広い神経支配を受けている5,10).そのため,仙腸関節が障害されると腰臀部痛・仙腸関節部痛だけでなく,鼠径部・大腿・下腿・坐骨部などへの関連痛も出現し,腰椎疾患と鑑別を要し,診断に難渋することがある.仙腸関節由来の腰痛は3.5〜30%と報告され,腰痛の原因が悪性腫瘍である場合は0.7%とさらに少ない1,9).本稿では,仙骨およびその周辺に発生した腫瘍性病変を見逃さないために,仙腸関節痛におけるレッドフラッグについて述べる.
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