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はじめに
パーキンソン病は世界的に患者数が急増しており,パンデミックともいわれている.日本においても患者数は人口10万人に100〜180人であり,65歳以上では100人に約1人が罹患しており,超高齢社会が進む日本は,今後も患者数は増加することが予測されている1).
「難病の患者に対する医療等に関する法律」いわゆる「難病法」では,パーキンソン病は指定難病に分類されている疾患でもある.同法で難病は,“発病の機構が明らかでなく,かつ,治療方法が確立していない希少な疾病であって,当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるものをいう”2)と定義されている.
また,難病患者の医療費負担軽減を図るとともに,難病患者データから効率的に治療研究を推進するために,難病法に基づき指定難病を位置づけて医療費助成制度が開始された.難病法が制定される以前は,特定疾患治療事業において特定疾患として56疾病が定められていたが,2014年(平成26年)に難病法が制定され,翌年に医療費助成制度を開始すると110疾病に増えた.その後,制度改定とともに疾病数が増え,2024年(令和6年)4月にはさらに3つの疾患が加わり341疾患が指定されており,年々疾病数が増えている現状である1).厚生労働省3)では,パーキンソン病をはじめとする指定難病患者への医療提供体制や療養における日常生活の整備だけでなく,保健・福祉・就労等も検討されている.特に,指定難病患者も継続した雇用や就労継続ができるよう環境調整を強化することも,課題とされている.
これらの指定難病の中で,パーキンソン病の患者数は上位であり,研究も進んできてはいるが,根本的な治療法はまだ解明されていない.
パーキンソン病患者には,医療だけでなく,ADLや社会参加への支援も必要であり,作業療法士がかかわることは多い.パーキンソン病患者の活動や社会参加を支援するうえでは,環境設定が特に重要である.環境設定の一つでもある自助具について,事例を通じてその重要性を考えていきたい.
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