巻頭言
自助具とショウジョウバエ
硯川 潤
1
1国立障害者リハビリテーションセンター研究所福祉機器開発室
pp.1131
発行日 2020年12月10日
Published Date 2020/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202095
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自助具は福祉機器研究におけるショウジョウバエである.唐突だが,設計という視点から自助具をみるようになって,筆者が抱いた感想である.
ここ数年,3Dプリンタを自助具の製作に活用する取り組みを進めている.高級試作ツールだった3Dプリンタが劇的に低価格化し,作業療法室の備品として購入できる程度になった.しかし,ハードの環境は揃っても,元となる形状データを誰がどう作るのか,という問題が残る.CADソフトの使い方も重要だが,機能する形状を着想できなくては始まらない.そもそも自助具の設計は何がポイントになるのだろう? 機械工学をバックグラウンドにもち,自身も自助具を愛用する頸髄損傷者の筆者にとって,この問いは非常に興味深い.
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