増刊号 テクニカルエイド—つくる自助具・使える自助具
第2章 疾患・障害別アセスメント—導入における考え方
5 神経筋疾患—テクノロジーを活用した支援
渋谷 亮仁
1
Akihito Shibuya
1
1国立病院機構 西新潟中央病院
pp.706-711
発行日 2024年7月20日
Published Date 2024/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203860
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はじめに
同テーマの増刊号に執筆してから10年が経過した.この間,多くの技術革新と社会変容によって,生活で使う用具は目覚ましい進化を続けてきた.その代表ともいうべきスマートフォンは,今やわれわれの生活必需品になっている.
テクノロジーの発展は神経筋疾患を有する対象者にも多くの可能性を提示している.音声機能を喪失しても眼球運動だけで子どもの卒園を祝う者,病床にあっても娘の挙式に遠隔で参列する者,四肢機能が全廃であっても配慮を受けて通学する者など,テクノロジーが対象者を生活行為向上へと導いた例は数多く存在する.作業療法でいうところの自助具とは,多様な日常生活のあらゆる場面で,心身機能の低下等により目的動作の遂行に困難をもたらす場合に,その解決のため当事者本人が用いる用具や工夫である1)と提唱されている.したがって,テクノロジーを作業療法士が扱う自助具と捉えることは妥当だと解釈できる.本稿ではこの主張のもとに,神経筋疾患に有用な専用機器や一般品の応用等,基本的な手段と活用について説明する.
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