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はじめに
大島良雄東大名誉教授によって示されたリウマチ患者向けの「患者の心得」という十項目がある.
(1)全身の健康状態をおろそかにしてはならない.
(2)この病気は,一生もってあるくつもりで生活しなさい.
(3)機会あるたびに,精神的にも肉体的にもリラックスしなさい.
(4)いわゆる特効薬を追いかけるな.
(5)補助具があれば使う方がよい.
(6)隣りの患者に効いたからといって,それが必ずしも自分に効くとは限らない.
(7)医者のいうことは,できるだけ聞いて下さい.
(8)運動を毎日のリズムに.
(9)患者も医師も家族も落胆するな.
(10)余病があったらすぐに治しなさい.
この心得を初めて読んだ時感じたことは,患者はもちろん家族へもリウマチ教育を徹底させていくことが治療の第一条件になるのだなということであった.リウマチの疾患とその特殊性,そして日々の対処の仕方を指導した時にこの心得が生きてくる.OTの立場からリウマチ患者教育に熱を入れ続けてきてOTで製作するスプリントも自助具もまた関節保護法の指導も,患者の理解の上に立って始めて効を奏するものなのだとますます感じている.治療の一端を患者も担っていることを知らせることはOTサービスの効果やその確立を計る上にも必要である.
心得第五番目の項目が今回筆者に与えられたテ一マと関係する.何故自助具を使用した方がよいのか(目的),どういう時に(使用時の注意事項),どういうものを(自助具の種類)使用したらよいかなどをOTサービスの中での自助具の位置づけを加えて述べていぎたい.自助具は「自己を援助する工夫」と考え用具のみでなく幅広く工夫・方法も含めて述べていきたい.
リウマチ患者と接するOTの心構えとしては,「患者の心得」を「セラピストの心得」として読み変えると含蓄あるものになる.例えば,(2)は,リウマチ患者とは一生つきあうつもりでいなさい.(6)は,前の患者にうまくいったからといって,それが必ずしも別の患者にうまくいくとは限らない.(7)は,患者のいうことはできるだけ聞いて下さい……等々である.
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