巻頭言
自助具の開発を願う
児島 美都子
1
1日本福祉大学
pp.701
発行日 1973年7月10日
Published Date 1973/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102969
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最近のリハビリテーション関係のできごとで,石坂直行さんの「車椅子の世界旅行記」ほどセンセーションをまきおこしたものはない.海外旅行ブームといわれながら車椅子の障害者が海外旅行をしたケースは,石坂さんが始めてというのも,わが国のリハビリテーションの後進性をあらわすものだと思う.車椅子の旅行記は鮮明に彼我のリハビリテーションのちがいを教えてくれた.
石坂さんにとって「天国」とも思えた道路や交通機関や建物への配慮は西欧諸国では当り前のことである.わが国でも,石坂さんの見聞記が大きなきっかけとなって全国のあちこちで障害者の生活圏拡張運動がとりあげられている.今年は,国の予算にもそのための費用がくまれ,建設省も新設の道路に車いすの歩行者のためのスロープや道路の段差をなくすよう通達をだすという.やればできるのにどうして今までできなかったのかと思う.
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