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Key Questions
Q1:訪問の作業療法の課題は何か?
Q2:対象者のための多職種協業とは?
Q3:訪問の作業療法を根拠づけるには?
はじめに
2021年度(令和3年度)介護報酬改定がなされた.今回の改定には,①感染症や災害への対応力強化,②地域包括ケアシステムの推進,③自立支援・重度化防止の取り組みの推進,④介護人材の確保・介護現場の革新,⑤制度の安定性・持続可能性の確保の5つの柱があった.
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が始まったとはいえ,ワクチンの十分な供給量の確保や,接種に当たる医師や看護師,集団接種できる場所の確保等,その体制整備も急がれる.介護報酬改定においても,感染症対策強化と事業継続性を考慮して特例的な評価として0.05%プラスされ,全体としては0.7%プラス改定となった.この改定には,地域包括ケアシステムを深化していくことはもちろんのこと,自立支援に資するサービス提供ができるよう,データ提出だけでなく,現場へフィードバックすることで課題となる点を明確にすることができ,より質の高いサービス提供につなげるため,PDCAサイクルに取り組めるよう構築されている.
具体的には,ADL,栄養,口腔,嚥下,認知機能等を横断的かつデータで明確化することで,利用者を身体機能だけでなくICFの視点で俯瞰的に評価でき,不足しているプログラムを明示することができる.たとえば,運動機能が向上せずに維持傾向の場合,体重が減少していれば栄養指導もプログラムに入れていかないといけない.
訪問リハでは,退院退所後のリハの充実として,退院退所日から3カ月以内は週12回まで介護報酬の算定が可能となり,在宅生活へスムーズな移行が図られている.また,リハビリテーションマネジメント加算に関しても,自立支援・重度化防止に向けてさらなる質の担保を求め,見直しがされた.通所リハでは,運動負荷量,リハ方針,修了の目安や時期に関して,医師の指示が明確にあるものについては有意に通所リハが修了したとのデータもある1).訪問リハにおいても,リハビリテーションマネジメント加算を通じて,訪問リハ計画書のデータを提出することにより,サービスでPDCAサイクルを実施し,より一層医師との連携を図り,有効な訪問リハを実施してもらいたい.
どのサービスでもそうだが,リハ・機能訓練,口腔,栄養の取り組み・連携強化が謳われている.利用者に対してそれぞれが計画を立てていくものだが,一体的な計画・実施が期待されている.一方,訪問看護ステーションのリハ職による訪問は減算となった.訪問看護ステーションでは中重度の利用者がメインとなるが,その中でも難病,ターミナル,重度心身障害児,小児慢性特定疾患,精神疾患等,障害や病気と共に生活していく方は,ご本人・ご家族をサポートする医師,看護師,リハ職,介護職等が協業していかなければ在宅生活は継続できない.この改定からも読み取れるが,自立支援に向けて多職種で連携しながら,多様なニーズに応えていかなければならない.そのためにも,データを蓄積・分析し,計画書やプログラムへ反映していくべきである.
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