特集 訪問看護は看護を変える
これからの訪問看護の役割と課題
鎌田 ケイ子
1
1東京都老人総合研究所
pp.15-19
発行日 1996年1月15日
Published Date 1996/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901115
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
高齢者の健康問題は,寝たきり老人や痴呆老人の介護問題をはらみ深刻になる一方である.健康問題の解決のための方法や筋道がはっきり示されていないことが,社会不安を醸しだす原因の1つとなっている.従来の病気を治す視点からのキュアのアプローチのみでは解決しないことははっきりしてきた.慢性疾患をかかえた老人患者は薬をもらうために外来に溢れかえっているし,機能障害を残した老人患者は“社会的入院”と扱われて,行く場所がない.
高齢者の健康問題の中核が,治らない慢性疾患と老化である限り,医療の中に新たに“ケア”の視点を導入するより解決策はないと思われる.たとえ全治しない疾病・機能障害をかかえていても,生きることに喜びを感じ,快適で自立した生活が送れるように援助する視点と方法を確立することである.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.