Japanese
English
特集 疾患別 臨床・上肢機能アプローチ—機能・活動・生活へ
頸髄損傷四肢麻痺の上肢機能アプローチ
Rehabilitation for upper extremity function in patients with quadriplegia caused by cervical spinal cord injury
千田 聡明
1
,
加賀美 開
1
,
松永 俊樹
1
,
宮腰 尚久
2
,
島田 洋一
2
Satoaki Chida
1
,
Kai Kagami
1
,
Toshiki Matsunaga
1
,
Naohisa Miyakoshi
2
,
Yoichi Shimada
2
1秋田大学医学部附属病院
2秋田大学大学院
pp.342-347
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202466
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Key Questions
Q1:頸髄損傷上肢機能の特徴的な問題は?
Q2:頸髄損傷上肢機能アプローチの基本は?
Q3:頸髄損傷上肢機能アプローチの最近の試みは?
はじめに
日本の高齢化は急速に進んでおり,65歳以上の人口は2019年(令和元年)に総人口の28.4%,3,589万人となった1).今後も高齢化は続き,65歳以上人口は2042年に3,935万人でピークを迎えると推計されている2).高齢化の影響は外傷性脊髄損傷の疫学調査にも現れている.日本パラプレジア医学会が1990〜1992年(平成2〜4年)に行った調査では,受傷時の年齢は平均48.6歳であり,ピークは20歳と59歳の二峰性を示した3).それに対して日本脊髄障害医学会による2018年(平成30年)の調査では受傷年齢は平均66.5歳,中央値は70歳であり,ピークは70代の一峰性であった.受傷機転は平地での転倒が38.6%と最も多く,高齢になるほど高率であった.損傷レベルは頸椎レベルが88.1%で,7割は骨傷を伴っていなかった.入院時の麻痺は,46.3%が軽度のFrankel Dで最も多かった4).
本邦における外傷性脊髄損傷は,高齢者の平地転倒による,骨傷を伴わない軽度頸髄損傷が増加している.そのため,受傷後,比較的早期に回復期リハビリテーション病棟や介護老人保健施設等に移る例が多くなっており,作業療法の現場では,頸髄損傷はより身近な対象となった.頸髄損傷の基本的な知識や技術を深めておくことはOTにとって必須であり,本稿では主に上肢機能アプローチについて,症例を含めて紹介する.
Copyright © 2021, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.