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Key Questions
Q1:ICFとは?
Q2:ICFコアセットとは?
Q3:WHODASとは?
ICFの特徴とは:作業遂行のモデルとの類似性
1.疾病の分類と健康状態に関連する生活機能と障害の分類
疾病に関する分類は,「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」,いわゆる国際疾病分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems:ICD)であり,世界保健機関(World Health Organization:WHO)が作成する国際的に統一した基準で定められた死因および疾病の分類である.わが国では,公的統計(人口動態統計等)に適用し,医学的分類として医療機関における診療録の管理等でも広く活用されている.この分類は,1990年に「ICD-10」への改訂が行われているが,それ以来約30年ぶりの2018年に,第11回改訂版(ICD-11)が公表された.この特徴は,①多くの日本の医学の専門家・団体が貢献し,最新の医学的知見が反映された改訂内容,②臨床現場や研究等,さまざまな場面での使用を想定したコード体系の整備,③電子的環境での活用を想定したさまざまなツールで,現在,政府をはじめ関係諸団体でわが国への適用に向けた検討がなされている1).
ICDは病因論的な枠組みに立った分類であるが,健康状態に関連する生活機能と障害に関しての分類は,「国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health:ICF)」である2).ICFは,1980年にWHOから発表された,機能障害,能力障害と社会的不利に関する分類である「国際障害分類(International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps:ICIDH)」の改定版として,2001年にWHO総会で採択されたが,ICDの補助的な分類ではなく,ICDと同格の中心分類の1つで,相互補完的な位置づけとなっている3).なお,機能障害は身体の構造と機能に関するものであり,「疾病過程」の一部をなし,ICD-10にも使われ,ICFの体系では,機能障害は健康状態に関連した心身機能の問題そのものとして扱われている.したがって,ICD-10とICFとは一部重複しているが,同じ疾患のある別人が異なった生活機能の水準となることもあれば,同じ生活機能の水準の別人の健康状態が同じ状態とも限らない.つまり,ICD-10とICFを組みわせて使用することで,データの質は向上すると考えられる.
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