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編集後記
澤 俊二
pp.302
発行日 2020年3月15日
Published Date 2020/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202045
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2040年には,日本での年間死亡者数は166万人にのぼるという.一方,お隣中国(2019年末で人口14億5万人)では,一人っ子政策の影響からいよいよ超高齢化社会が目前に迫り,人口減を迎える.年間死亡者数は日本の比ではない.多くの死亡者が出る前には,寝たきり者や,障害を負う方が増大することが予測される.医療費,介護費の膨張から予算削減に転じ,夕張市の住民のように死生観が変化し,死に臨む姿勢も大きく変わってくる.
そのため,リハは,その方のQOL(生活の質)を高めるという目標の中に,QOD(死の質)を高める,保障することを包含して進み出した.そのきっかけは,大田仁史氏が1990年代後半に,ハビリス(habilis;〜らしい,適した)の精神から出た人間らしい「死」を具現化するための「終末期リハ」を思想として世に問うたことにある.一方,日本作業療法士協会が1990年前半から終末期作業療法の実現を協会方針に打ち出す契機をつくったのが,今回の執筆者である目良幸子氏である.末期がんの方(ホスピス等)の作業療法の実践と役割について紹介され,以後,多くのOTたちの発表が続く.
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