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編集後記
澤 俊二
pp.1070
発行日 2017年9月15日
Published Date 2017/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201074
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生命形態学者の三木成夫は,著書のなかで5億年前の脊椎動物の発生,植物が上陸し,両性類が誕生する等の過程にふれ,「動物は〔生・移動・食[栄養]・生殖・死〕の連続性をもった.自ら養分をつくれないため,植物という餌を求めて動かざるをえなくなった.泳ぎ,のたうち,飛び,歩くといういずれも地球の動きに逆らう無理な生活の道を模索した」と述べている.(ヒトのからだ—生物史的考察.うぶすな書院,1997).
現代人は,歩行という移動手段に代わり,自動車を選択した.自動車は,生活を営むうえで何者にも替えがたいものとなった.しかし,ここにきて,加齢による心身機能の衰えと同時に認知機能の衰えにより自動車運転が困難になってくるという問題が差し迫ったものになってきた.全体の事故件数は減っているのに,高齢者の事故は微増している.高齢者の運転に対して,社会の目は厳しさを増し,法律でも,特に認知症者に対して規制をかけようという動きが強まっている.
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