連載 脳損傷者への就労支援—対象者のデータベース化と多職種による支援の試み・第2回
高次脳機能障害患者の就労・復職に関して—自経験を踏まえた考察
佐藤 恵
1
,
山口 加代子
2
,
武原 格
1
Megumi Sato
1
,
Kayoko Yamaguchi
2
,
Itaru Takehara
1
1東京都リハビリテーション病院
2中央大学
pp.1078-1083
発行日 2019年9月15日
Published Date 2019/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201859
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はじめに
高次脳機能障害の患者にとって,復職や復学等の社会的再統合は重要なゴールである1).中でも,復職は本人・家族の経済的基盤の安定につながり,家族内役割の確立にも寄与するため,高次脳機能障害患者にとって重要なリハビリテーション(以下,リハ)の目標となる.
一方で,患者および家族が,社会参加する中で,徐々に生活全般が萎縮して依存的・退行的となり,さまざまな苦難を伴うこともある.そのため,復職を目指すにあたり,適切なリハや援助,および患者本人・患者家族・医療者・職場間での適切な障害の理解や受け入れが必要となる.さらには,病前とは異なる生活を余儀なくされた患者の家族に対しての精神的ケアも必要である2).
現在,筆者はリハ科医師として多くの高次脳機能障害患者を診察している.本稿では,筆者が学生時代,高次脳機能障害患者の家族の一員であったことを振り返り,家族として経験したことを記し,家族の思いを踏まえたうえでリハ科医師としての視点で報告する.
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