発達障害の就労・復職支援

Employment and Return-to-work Support for Developmental Disorders

抄録

　発達障害の就労支援について概観する。職場で出合う発達障害は，自閉症スペクトラム症と注意欠如多動症に大別することができる。発達障害の障害者就労における配慮は，設備投資などの過剰な負担を生じる配慮ではなく，主にソフト面の配慮であり，合理的配慮の範囲内に収まることが多いと考えられるため，職場は適切な措置を講じることが社会的に求められていると言える。発達障害の場合，診断がつかない事例もあり，対応が難しいことがあるが，事業場内の医療専門職は，事業場内で本人や関係者のサポートや各関係者の調整など多岐にわたる役目を求められている。診断がつくようなケースでは事業場内・外の医療職は，連携を密に図り，本人の特性に応じて，本人・職場の双方に助言をし，本人の職場への適応を改善し，職場側の疲労を改善することで本人の幸福を目指していく必要がある。