統合失調症患者の就労・復職を支援する

Support for Employment and Return to Work to Patients with Schizophrenia

抄録

　思春期・青年期は心理社会的発達においてアイデンティティ形成が重要な課題であるが，統合失調症患者はこれに加えて疾患の継続的な治療という課題にも直面する。陽性症状・陰性症状・認知機能障害を伴う統合失調症患者の治療に際して，薬物療法・心理療法・社会的治療法が重要であるが，それに加えて就労という手段は，患者の自己効力感の回復や社会的孤立の緩和，経済的自立をもたらし，アイデンティティの獲得にもつながるものである。精神医療に従事する者は単に疾患のコントロールをするだけでなく，どのような社会福祉資源が整備されているかという点にも精通し，患者の社会参加や価値観の再構築に向けた支援を行っていくことが望ましい。