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特集 司法領域における触法障害者等への支援
触法高齢・障害者を生み出す刑事司法の問題点と彼らに対する支援のあり方
How are elderly and handicapped people punished in Japan and how can we save them from punishment?
浜井 浩一
1
Koichi Hamai
1
1龍谷大学
pp.115-122
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201592
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Key Questions
Q1:触法高齢・障害者を生み出す原因とは?
Q2:欧州諸国に触法高齢・障害者が少ないのはどうしてなのか?
Q3:入口・出口支援とは?
はじめに
読者の皆さんは,日本の刑事司法で今何が問題となっているのかをご存じだろうか.現在,日本では,少年非行を中心に犯罪が大きく減少している.当然,刑事司法のクライエントも減り,毎年のように少年院や刑務所が閉鎖されている.実は,少年非行については,2007年(平成19年)前後からほとんどの先進国で減少傾向にある.2007年はiPhoneが発売された年でもある.iPhoneに代表されるスマートフォンの登場によって,非行少年を含む若者のライフスタイルが大きく変化したといわれている.以前の非行少年は,家族の不和や貧困,学業不振等によって家庭や学校に居場所がなくなると,さみしさを紛らわすために地域の不良集団や暴走族に加わり,そこでバイク盗やシンナーの吸引等の悪さを学び,非行を繰り返していた.だから,少年鑑別所や少年院は,そんな不良交友型の非行少年でいっぱいだった.しかし,最近,暴走族や公園や駅前等にたむろしている不良少年の集団をほとんど見かけなくなった.スマホがあれば,いつでも,どこでも,自宅にひきこもっていても,同じような趣味をもつ人と手軽につながることができる.わざわざ怖い思いをして不良集団に加わる必要はない.不良集団が弱体化したことで,そこを中心として広がっていた非行文化(飲酒,喫煙,不純異性交遊,暴走,各種窃盗)も衰退していった.今や非行はもちろん,中学生の飲酒・喫煙率,高校生の性経験率も大きく減少傾向にある1).
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