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Key Questions
Q1:触法障害者の地域移行と定着支援において,作業療法士がどのような役割を果たせるか?
Q2:触法障害者の地域移行と定着支援における課題は何か?
Q3:作業療法士が司法領域で活躍するために,どのようなスキルや知識が必要か?
はじめに:司法領域における作業療法の全体像
司法領域における作業療法士は,主に受刑者のリハビリテーションと地域社会へのスムーズな移行を目指している.日本においては,1960年代から矯正関連学会・専門誌で「作業療法」という言葉が使われ1〜6),1990年代後半から刑務所での触法障害者(犯罪を犯した障害者・高齢者)の占める割合が増え,作業療法士が非常勤または外部講師として関与するようになった.2008年(平成20年)から『作業療法ジャーナル』で特集が組まれるようになり7),2011年(平成23年)から日本作業療法学会で発表が始まり8),2013年(平成25年)以降,作業療法関連の学術誌で論文が掲載されるようになった9〜12).刑務所における作業療法士の役割は,医療,教育,刑務作業といった多方面にわたって拡大している.
しかしながら,刑務所から地域社会への移行と定着に関する作業療法士の報告はいまだに少なく,2022年(令和4年)の『作業療法ジャーナル』の特集「刑務所から保護観察までの作業療法」でその実践が報告されたに過ぎない13).司法領域における作業療法の実践は徐々に発展しているものの,刑務所から地域社会への移行に関する体系的な研究や実践は依然として不足している状況である.今回の論考では,触法障害者の刑務所から地域社会への移行と定着に関する法整備と課題について記述し,作業療法士ができる今後の展望や改善策について私見を交えながら述べる.なお,医療観察法における作業療法士の実践については専門外のためここでは触れない.
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