Japanese
English
特集 触法障害者・触法高齢者への支援と作業療法
触法障害者・触法高齢者に対する刑事政策の新動向
A new movement in the criminal justice policy of disabled persons and/or elderly persons who are against the criminal law
石川 正興
1,2
Masaoki Ishikawa
1,2
1早稲田大学社会安全政策研究所
2早稲田大学法学学術院
pp.1093-1100
発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200005
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Key Questions
Q1:地域生活定着促進事業は刑事政策上どのような意味をもつか?
Q2:刑事司法システムにおける「出口」支援と「入口」支援の相違は何か?
Q3:刑事司法システムと社会福祉システムの相違がどこにあるか?
刑事司法システムにおける「出口」支援の導入と展開
「地域生活定着促進事業」は2009年度(平成21年度)から本格的に始まった.それは,「刑事司法システム」を所管する法務省と「福祉システム」を所管する厚生労働省との2系統の縦割り行政機関が連携する事業であり,「司法」と「福祉」とをつなぐ,いわば「架橋事業」として,多くの期待が寄せられている.
2006年(平成18年)の法務省特別調査によれば,親族等の受け入れ先がない満期釈放者は約7,200人,うち高齢者または障害を抱え自立が困難な者は約1,000人とされた.また同調査では,調査対象受刑者2万7,024人のうち知的障害者または知的障害が疑われる者が410名,療育手帳所持者は26名であり,知的障害者または知的障害が疑われる者のうち犯罪の動機が「困窮・生活苦」であった者は36.8%を数えた.他方,65歳以上の満期釈放者の5年以内刑務所再入所率は70%前後と,64歳以下の年齢層(60%前後)に比べて高く(同調査),しかも,65歳以上の再犯者のうち約3/4が2年以内に再犯に及んでいると指摘された(『平成19年版犯罪白書』).
Copyright © 2014, "MIWA-SHOTEN Ltd.," All rights reserved.