連載 手のリハビリテーション・第10回【最終回】
母指CM関節臨床編—苦手意識の克服
田口 真哉
1
,
やさき きよし
2
Shinya Taguchi
1
,
Kiyoshi Yasaki
2
1丸の内病院
2目白大学
pp.1220-1224
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200747
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はじめに
母指CM関節に対する治療は,対立運動の再構築に不可欠である.しかし,把握動作の基本である対立運動の獲得は,日常生活で使う手へと導くために重要であると理解しつつも,どのように徒手的治療を進めていけばよいのか,若手セラピストとして悩む機会が多かった.
図1は母指MCP関節尺側側副靱帯断裂の症例で,靱帯再建術後,作業療法を開始し,経過は順調に思えていたが,患者は趣味であるバイクを運転する際に違和感があると話していた.この症例で見落としていた点は,母指CM関節の可動性であった.対立運動の障害から,バイクのブレーキ操作に支障をきたしていたのであった.この症例をきっかけに,われわれは,あらゆる母指の治療場面において,CM関節の動きを第一着目点として日々の臨床に努めている.
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