講座 薬物治療のアップデート・第4回
関節リウマチの薬物治療アップデート
武井 裕史
1
,
金子 祐子
1
,
竹内 勤
1
Hiroshi Takei
1
,
Yuko Kaneko
1
,
Tsutomu Takeuchi
1
1慶應義塾大学リウマチ内科
pp.1212-1218
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200746
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
CHECK POINT
□現在の関節リウマチ治療はどのように進められるか?
□生物学的抗リウマチ薬をはじめとした新規治療薬の特徴と効果は?
□抗リウマチ薬の副作用にはどのようなものがあるか? 投与時の注意点は?
関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は全身に慢性破壊性関節炎をきたす疾患で,罹患率は一般人口の0.5〜1%と,リウマチ膠原病疾患の中で最も高い.原因は不明であるが,異常な免疫応答が関節を中心に炎症を引き起こすと考えられている1).適切な治療がなされない場合,発症2年以内の早期から約70〜90%で骨びらんが出現,関節の破壊が開始され,長期罹患による関節破壊の進行,関節の変形は,疼痛のみならず著明なADLの低下,機能予後の低下をきたす2).また,持続する炎症,免疫異常は,動脈硬化および悪性疾患リスクとなることから,RA患者は一般人口と比較して生命予後が悪いことが知られている3).そのため,RAに対しては疼痛コントロールだけでなく,将来の機能予後,生命予後の改善を見据えた積極的な治療介入が必要である.
RAに対する治療薬,抗リウマチ薬(disease modifying anti-rheumatic drugs:DMARDs)は,関節炎の改善を通じて関節破壊の進行,免疫異常を抑制することが期待されるが,近年開発された生物学的抗リウマチ薬の劇的な効果は,RAの治療に飛躍的な進歩をもたらした.本稿では生物学的抗リウマチ薬を含めた,最近のRAの薬物治療につき概説する.
Copyright © 2016, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.