Japanese
English
特集 脳機能障害と作業療法—高次脳機能障害に焦点を当てて
—対応が難しい高次脳機能障害④失語(言語・コミュニケーションの問題)—重複障害を抱えた重度失語症者の理解と作業療法支援
Occupational therapy for severe aphasia patient with multimorbidity and multiple disabilities
高橋 栄子
1
Eiko Takahashi
1
1富士温泉病院
pp.547-553
発行日 2016年6月15日
Published Date 2016/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200591
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Key Questions
Q1:重度失語症者の臨床像は?
Q2:その理解と基本的対応は?
Q3:潜在性を引き出しやすい治療展開は?
はじめに
人の日常におけるコミュニケーションでは,言葉は,詳細で正確な意思疎通や思考の交流に大いに役立ってはいるものの,単独に言語のみがコミュニケーションに寄与することはなく,むしろ非言語的な要素のほうが大きな比重を占めている.
失語症者に対する評価とその改善に向けた支援は,主にSTに委ねられるのが一般的である.しかし,人の根幹となる機能であるがゆえ,より総合的・現実的なコミュニケーション能力の再獲得は,リハスタッフすべてに託されている.
今回,皮質から皮質下の広範な脳損傷により,重度の失語に加え,さまざまな障害を併せもつ対象者に出会う機会を得た.担当は,臨床経験2年目のOTであったが,対応の難しさを抱えていたため,筆者も何度か治療に介入させていただいた.本稿では,その対象者に対して,セラピストがどのように理解を進め,具体的に支援を提供したのか紹介する.
Copyright © 2016, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.