連載 手のリハビリテーション・第1回【新連載】
評価を考える—上肢機能を中心に
やさき きよし
1
,
田口 真哉
2
,
板井 謙太
3
,
小関 祐子
3
,
武田 恵美子
3
Kiyoshi Yasaki
1
,
Shinya Taguchi
2
,
Kenta Itai
3
,
Yuko Koseki
3
,
Emiko Takeda
3
1目白大学
2丸の内病院
3武蔵村山病院
pp.72-77
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200463
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
わが国の総人口に占める高齢者の割合は,急速に増加してきた.そしてその影響は,リハビリテーション医療(以下,リハ)にも大きな変化をもたらしている1).その一つが対象者に占める高齢者の割合が増加していることである.高齢化で退行変性が進み,さらに古傷は徐々に変化し,ほかにも影響を及ぼす.高齢の対象者は,潜在的な機能変化・代償等の問題が混在している.一方,リハの医療従事者を養成する専門教育機関も急速に増加し,現在の高度情報化社会ではさまざまな情報が整理され,教育も充実してきている.それゆえ,知的情報レベルは高度化した.しかし情報量が多くなってきているともいえ,学生は十分に理解できないまま臨床に放り出されるのが現状である.
現在は行政の指導下で早期離床,在宅生活を前提に,短期集中型リハが行われている.それは単位化であり,1対1の治療訓練であり,365日無休のリハである.これらにはさまざまな過程を経てたどり着いたが,疾患別に整備されているかどうかは少し疑問を残す.
ここでの“評価を考える”は,上述の諸条件下で多面的に,かつ視野を広げ,みることである.この“みる”という言葉には,“見る,観る,視る,看る,診る”等の意味を含むことを“こころ”にとどめていただき,話を進める.
Copyright © 2016, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.