連載 手のリハビリテーション・第5回
MCP関節をみる!
やさき きよし
1
,
田口 真哉
2
Kiyoshi Yasaki
1
,
Shinya Taguchi
2
1目白大学
2丸の内病院
pp.454-459
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200563
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はじめに
前回まで3回にわたり,PIP関節の動かせる環境(関節)を整え,機能障害(関節拘縮)の予防について基本的な考え方と徒手的治療法を紹介してきた.今回からは,PIP関節と同様に中手指節関節(metacarpophalangeal joint:MCP関節)の動かせる環境の獲得・維持を目的とした,機能解剖に基づいた段階的な徒手的治療法を中心に紹介する.そして皆さん自身がこの技術を活用し,患者が自然に手を使えるように“みて”いただければと考える.
多くの患者は図1のように,安静時に準じた状態(手の肢位:MCP関節伸展位・PIP関節屈曲位)を保っていることが多い.これは筋の生理的粘弾性からみても,精神的なストレスを考えても自然な状態(肢位)といえる.しかしMCP関節の機能の維持という観点からは,関節構成体(組織:筋・靱帯)の伸長のバランスを崩し,関節障害を引き起こす一歩ともなり得る.
前置きはこのくらいにして,臨床場面に入っていきたい.
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